華僑の商訓「理財致富十二則」を実践した李さんの成功物語

華僑のイメージ ビジネス

*主人公:李さん

中国本土の小さな町で生まれ育った李さんが、
昔から伝えられた商訓を学びながら大成功を収める物語です。
「理財致富十二則」の教えにそって紹介します。

大陸から香港への脱出!

1937年からの日中戦争や
戦後の中国本土における国共内戦があったころの
1950前後までに大陸から香港へ、
大量の脱出者をもたらしました。

その一人が李さんです。
当時の国境超えは山を越え、海を渡るなど苦難の連続でした。
やっとの思いで、香港へたどりつきます。

壁に貼ってあった商訓

李さんはもちろん裸一貫。

香港ではその日暮らしの毎日で、
満足に食べることさえできない毎日。

ただ、李さんが大陸に住んでいた小さなときに、
家の中には、昔から伝わっていた華僑の商訓である
「理財致富十二則」の札が貼られていたようです。

李さんは小さいながらに、
商売をするには「理財致富十二則」を
守るようにと心にきめていました。

香港での生活

李さんは香港での生活の中で、
はじめは拾ったものからでも商売にしながら、
日々の生計をたてていました。

その後、香港においても政情が落ち着き、
李さんは工場で働くことができました。

工場で働きながらも資金を貯め、
独立する夢をもっていたので、
「理財致富十二則」を守り、
実践することを忘れませんでした。

理財致富十二則とは

陶朱公は二五○○年前の春秋時代の
政治家、軍師で、笵蠡(ファン・リー)のことで、
引退後に陶朱公と名乗り、商人として頭角を現し、
巨万の富を得たとされる人のことです。

陶朱公は中国人の商売の神様と崇めら、
陶朱公が残したとされる秘伝の家訓があり、
現代でも中国の商家などで飾られ大事にされています。

その一つが理財致富十二則です。

雷さんの成功物語と商訓

雷さんの成功物語を「理財致富十二則」にそって紹介します。

1.能識人(人を見定めること)

香港に住んだ李さんは、
新たな友達を作るたびに注意深く
人を見定めることから始めました。

彼は人々の性格、能力、信念をよく観察しました。

ある日、彼はひとりの新しい友達、
陳(チェン)さんを見つけたのです。

陳さんは誠実で信頼できる人で、
李さんは陳との友情を築いたことで、
後の共同事業の成功に
つながることになりました。

2.能接納(よく接すること)

李さんは人々とのコミュニケーションが得意で、
どんな人ともよく接することができました。

彼は他人の意見を尊重し、
異なる意見を受け入れることを大切にしたのです。

これにより、彼のビジネスネットワークが急速に成長し、
貿易の会社を起業するという、
新しいビジネスチャンスが訪れました。

3.能安業(よく仕事をやり通すこと)

李さんは仕事に対する責任感が強く、
何事も最後までやり遂げることを信条としました。

彼は忍耐強く努力し、困難に立ち向かっていったことで、
彼のビジネスでの成功につながったのです。

常に最善を尽くすことで、
信頼を築き、顧客からの評判が高まりました。

4.能整頓(よく全般に行き届くこと)

李さんはビジネスの問題点を整理し、
効率的に運営することに力を入れたのです。

オフィスは整然とし、
文書やデータ管理を行うことで、
情報の追跡が容易になり、
意思決定が迅速かつ正確に行えたのです。

5.能敏捷(よく敏速の事を行うこと)

李さんは市場の変化に迅速に対応しました。

競争が激しく、ビジネス環境が変動する中で、
彼は敏捷に行動し、新しい機会を逃さずに捉えました。

この柔軟性が、彼のビジネスの成長を支えたのです。

6.能討賬(よく財務ができること):

李さんは財務の知識と管理にも熱心に取り組みました。

彼は収入と支出を常に把握し、
適切な投資や節約策を見つけ出し、
さらに、リスクを適切に評価し、
慎重な資金運用を行い、
ビジネスの安定性を
確保することもできたのです。

7.能用人(よく人を活かすこと)

李さんは自身の成功を共有し、
チームを組んで一緒に働くことを奨励しました。

彼は優れた人材を見つけ、
適切に育てることで、
ビジネスの成長を加速させました。

彼のチームは協力し合い、
共通の目標に向かって力を合わせました。

このスキルはビジネスの交渉や
契約締結において非常に役立ちました。

9.能瓣貨(よく商品・サービスに精通すること)

李さんは自身のビジネス分野において
専門知識を習得しました。

彼は市場動向や競合他社の情報を常に追跡し、
自社の商品やサービスを改良しました。

この情報収集と改善のプロセスが、
競争力を維持する鍵でした。

10.能知機(よく機を知ること)

李さんは市場の変化を敏感に察知し、
機会を逃しません。

彼は競合他社の動向や新しいトレンドを常に把握し、
ビジネス戦略をたてました。

これにより、彼は競争の中で
常に優位に立つことができたのです。

11.能倡率(よく率先垂範すること)

李さんは常に自身が率先して働き、
チームに模範を示していました。

彼の情熱と努力が、従業員やパートナーに感染し、
みんながより一層の努力を惜しまないようになりました。

12.能遠數(よく先を読むこと)

李さんは将来を見越して計画し、
戦略を立てることにも熱心でした。

彼は市場の変化や経済の波に備え、
リスクを最小限に抑えながら事業を拡大しました。

彼は将来の展望を明確に持ち、
ビジネスの長期的な成功を確保しました。

商訓の効果

商訓の実践により、李さんは成功を収め、
地元の華僑コミュニティで尊敬を集めました。

彼の成功は、
能力、努力、計画性が重要であるだけでなく、
人間関係の大切さと柔軟性も
ビジネス成功に不可欠であることを示しています。

香港の大富豪 李嘉誠氏

世界の中でもトップクラスの大富豪家
李嘉誠氏も大陸から香港へ脱出した一人です。

香港には大富豪が多く、
香港観光では大富豪の自宅をみるコースが
組み込まれていたものです。

駐車常には高級車がずらり、
車のナンバーは縁起の良い「8888」
がつけられていました。

ただ、李嘉誠氏の暮らしぶりは
堅実で、質素なものであるという話が伝わっていました。

李嘉誠氏の成功物語のキッカケは
「ホンコンフラワー」。

プラスチック工場で
働いていた経験から生み出されたものです。

李嘉誠氏に伺ったわけではありませんが、
きっと「理財致富十二則」を実践してきた
のではないかと思う次第です。

まとめ

華僑の商訓「理財致富十二則」

  1. 能識人(人を見定めること)
  2. 能接納(よく接すること)
  3. 能安業(よく仕事をやり通すこと)
  4. 能整頓(よく全般に行き届くこと)
  5. 能敏捷(よく敏速の事を行うこと)
  6. 能討賬(よく財務ができること)
  7. 能用人(よく人を活かすこと)
  8. 能辯論(よく筋道を立てて話ができること)
  9. 能瓣貨(よく商品・サービスに精通すること)
  10. 能知機(よく機を知ること)
  11. 能倡率(よく率先垂範すること)
  12. 能遠數(よく先を読むこと)

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